気がついたこと。
私は何故、北海道に来たのだろうか?
大学に入学した時点では明確な理由があった。
現実問題として休みの日、休講日にはせっせと通った場所がある。
安足間(あんたろま)、住人100人もいたのだろうか!?
隣は上川町、層雲峡温泉のある町。
私はここに通いつめ、探し続けた。
私を産んだ人を。
名前もわからないのに、通いつめ日々。
大学を卒業するまで通いつめたのに見つからなかった。
今日、娘っちとお風呂に入っていて気が付いた事がある。
養父は孫娘が可愛いと言う。
それは多分、娘っちに私を重ねているのかも知れないと思った。
小さい頃の私を娘っちに重ね合わせて見ているのかも!?
大学を卒業しても私は北海道を離れる事が出来なかった。
子供を捨てる人の気持ちがわからなかったから。
そのうち、私も結婚し母になり、余計わからなくなった。
我が子は本当可愛い。どーしょうもなく可愛い。
それなのに何故、捨てられたのだろう?
やがて、私は親を探すのを辞めた。
諦めた。
あれだけ、通いつめ見つけられないのは、もうすでに、亡くなったのかも!?と、思うようになっていた。
長男が2歳か3歳の時、偶然ドライブしていたら、安足間についた。
喉が乾いたと言う長男にジュースを買う為に入ったお店で「遊びに来たのかい!?」えっ!?誰かと勘違いしている!!
私はえぇとは言ったものの、誰の事かはわからなかった。
話を合わせて名前を聞き出し、そこの家の近くまで行った時、偶然にも私そっくりな女性を見かけた。
あちらもびっくりしただろうけど、私もびっくりした。
「あっ!この人が私のお母さん」慌てて戻った時には、その人は家の中からこちらを見ていた。
訪ねて行こうと思ったけど、思い止まった。
今更、行ったからと認めてはくれないだろうと、思ったから。
車の窓越しに長男の顔を見せた時に、その人の目には光るものが………
短いメモを書いて置いて来きたのは、その日の夜中。
「産んでくれてありがとうございます。
結婚して長男が産まれました。」
これだけの短いメモに長男の写真をつけて。
私はあれ以来、行ってない。
そんな私に娘が「ママの子で良かった!!」
お風呂の中で不意に言われた言葉は私が養父、養母に言えなかった言葉。
娘っちが気づかせてくれた。
今は地元に帰られない私に痺れを切らして、
養父も養母も北海道に来た。
血の繋がりよりも深い愛情がある事に今更ながらに、娘っちに教えられた夜。
多分、照れ臭くて言えないだろうけど、いつか、伝えよう。
「育ててくれてありがとう!!幸せだよ!!」